母と子ども

幼児教育に関するつぶやき

その幼稚園を選ぶ理由は明らかですか?

私立小学校の受験指導をしていく中で、毎年共通して同じタイプの困ったちゃんに遭遇する。これは受験に限らず、幼児期に、普通の幼稚園でなくインターナショナルスクールに通うお子さんたちの全員に言える事。


「ヒト」だけが言葉を持つ。胎児はお腹にいる時から、母親の愛情を感じながら、母親の住む国の言葉を聞いて大きくなる。誕生してからも母親の心音と一緒に聞こえていたママとパパの声を何よりの安心な音として聞いている。赤ちゃんは主に母親の発する音、言葉を聞いて大きくなる。そして音を聞いて言葉を通して生活や世の中を知っていく。
そして次なる環境として行き始めるのが保育園や幼稚園。そこでの言葉は母親と違う、一斉の指示となる。そこでも子どもは先生の言葉を聞き、お友達の言葉を聞いて社会性を身につけていく。
そこで、それが違う国の言語だったらどうだろう?自分が幼児だとして想像してみてほしい。

 

英語を耳から聞く時の波動は日本語と違うらしい。だから幼いうちから英語を聞く耳を育てる事は有効だと。数年前から、あちこちにインターナショナルスクールができ、ネイティブの先生がいて、幼稚園での生活全般を英語のみで過ごす。勿論本物のバイリンガルになる事を目指し、発音も大人顔負けに美しくなる事は感心する。


しかし…。


この環境で幼児期を過ごしたお子さんは、その後どうなったのか?検証してみてほしい。
世界で羽ばたく為に幼い頃からの英語体験は必要という事は理解できる。しかし、この「人」として世の中を学んでいく幼児期に、日本語ではない幼児教育の環境で、大切な事がいっぱい抜け落ちていませんか?????と思う。

 

勿論選んだ園によっても違うと思うが、日々、子どもたちと関わる仕事をしている私として感じるのは、インターに通うお子さんの多くが、年長児として身についているはずの日本語の言語能力が著しく低いのが現状なのだ。


自分の思いを日本語で話す事ができない、繊細な感情が育ってきづらい或いは育ってきてもその表現力に繋がらない、文脈を理解できない、複雑なお話が理解できない、日本語独特の美しい表現を全く知らない、単語でしか会話できない、形容詞、助詞の使い方がめちゃめちゃ…などなど、大変お粗末で残念な事になっています。

 

それに加えて共通するのが「お行儀が悪い」

お友達を呼び捨てにする←カッコイイと勘違いしないで!足癖が悪く、すぐ胡座をかく、足を組む、お箸が上手く使えない、手づかみで食べる、肘をついて食事する、食事中のおしゃべりが多い、キチンとお椅子に座れない、女の子でもお膝が開く、明るくてオープンな感じだけど、表現がオーバーで単語1つで答えてしまうなど人の話を丁寧に聞いて言葉を選んで丁寧に返答する事が苦手なので、どうしてもぶっきらぼうな印象を与えてしまう…など。

 

この、言語能力とお行儀の2つ。これが著しく劣るのである。これは大変困った事なんですよね。何故ならこれらを身につけるのには何年もかかるからだ。日々の生活の中で自然に身についていくものは、簡単には手に入らないという事だ。


もう一つ言うなら、幼児期をこの環境で過ごしたお子さんのママから、未だに「先生、国語の成績がすごく悪いんです。どうしましょう」「先生、日記や感想文が書けません。どうしましょう。」と相談を受ける。小学生になった今も。
うーむ、困ったもんだ。もう幼児期をやり直す事はできないからね〜。

 

一方で、インターナショナルスクールを卒園しても、言語能力は高く、お行儀も良い子はちゃんと存在する。それは勿論、両親がインターナショナルスクールの特徴をよく理解した上で、家庭での子育ての中で、我が子に足りてないもの、加える必要のあるものをしっかりとわかっていて実践しているのだと思う。こういうご家庭ならインターナショナルスクールに入れても失敗や不足はないでしょうね。

 

やはり「親の子育て」が源なんだな。子どもをどう育てたいか?がしっかり教育方針としてご夫婦で話し合われているか?という事に行き着くんだねー。

 

注:これはインターナショナルスクールを批判するものでは決してありません。自分の子どもを客観的に見てみましょうと言いたいだけです。