母と子ども

幼児教育に関するつぶやき

絵本のこと「絵本の虜になっちゃう子」

先日、朝日新聞に一面使って、絵本の紹介、お薦め絵本の掲載があった。「絵本のプロ」「この夏読みたい」「本当に読んでほしい」のうたい文句で、8人の顔写真つき。これを見た若いママたちは、どれを買おうかしら?と考えた事だろう。

果たして、これで良いのか???と心配になる。

 

私が教えているお子さまに、これこそはと思う絵本をレッスンで読むと、どんなに絵本があまり好きではなかった子でも、絵本を最後まで聞けなかった子でも、マンガチックなものにしか反応しなかった子でも、テレビやゲームに夢中の子でも、次々新しいものを見たがる子でも、ただその1冊に夢中になり「先生あれ読んで!」と虜になる。何か月も同じ本を読んで欲しがり、読んでいくうち、その絵本の叡智に辿り着いたような幸せな顔をする。

さらには、この先生大好き!先生の言うことなら何でも聞く!先生とのレッスンの時間を心待ちにし、自分からお席に着いてレッスンを待ってる!という魔法をかける事までできる。
また、お母さんの反応も「先生、子どもが、こんなに夢中になる絵本があったんですね!」となる。何故これらの絵本がそれほどまでに良いのか?をお母さんにお話しすると、お母さんも納得し、絵本に対する思いを深くする。


あの掲載を否定はしない。一方でステキな絵本が生まれるのは楽しみ。でも、本当に良い絵本の事は、誰も教えていないよ!と思う。

 

これはあくまで「広告」で、新しい絵本を売るための商材が載っているだけ。あくまで売り手の意図が優先されている。それを読んでもらった子どもが、何を感じるか?など全く考慮されていない。
言わば、ビジネスに直結しているのである。


本来子どもに読み聞かせる必要のある絵本は限られていると思う。幼児教育の世界では、学校の教科書のように、お墨付きという事がないから、本屋さんや図書館で、母親が選ぶしかない。その本屋さんもまた、その本屋の店主が選んでいて、図書館にある幼児向け絵本も、図書館の誰かが選んでいるわけで。


若いママに、今回のような情報を与えると、これが1番素晴らしく旬のように感じて買ってしまうだろう。そうやって、「もっと良い絵本」は若いママたちが知らずに埋もれていく。

1番残念で犠牲になるのは、良い絵本に出会えない子どもたち。もっと言えば出会えないだけではなく、その子どもは「良い絵本を見る目」や、レベルの高い想像力までもが育たないという事。